はじめに
第66回美学会全国大会が、2015年10月10日(土)から12日(月・祝)まで、早稲田大学で開かれました。その際、本発表とは別に、美学会と当番校の共催企画として、美学会で初めて発表する研究者のための「若手研究者フォーラム」が開催されました。以下は、発表者の任意による投稿のなかから、ある程度の水準に達しているものを論文として掲載した報告集です。若干の字句の修正や書式統一のための処理を行った部分もありますが、原則的には、発表者から送られてきた原稿を、ほぼそのまま掲載しました。「若手」研究としての性格上、多少の不備があるかもしれません。その点につきましては、各発表者による研究の進展を待つことにして、ここでは発表時の原形を伝えることを第一の目的としました。「若手」らしい、新鮮な着眼点や問題意識、鋭敏な直感や大胆に越境する想像力などを感じ取っていただければ幸いです。
美学会「若手研究者フォーラム」委員会
委員長 尾崎彰宏
目次(個別PDFのダウンロード)
タイトルをクリックすると、発表者ごとの「報告論文」(PDF形式)を閲覧できます。
Th.リップス感情移入美学の現象学的再考
峯尾幸之介
ジャック・ランシエールの美学
——芸術における「中断」
鈴木 亘
V. F. オドーエフスキーの活動初期における音楽思想
——その評論と論文から
三浦領哉
近代音楽学の成立
——ハンスリックとアドラーにおける音楽美学と音楽史——
小川将也
音楽作品の「力動性」と「静止性」をめぐるTh. W. アドルノの理論について
——A. ベルク《クラリネットとピアノのための四つの小品》を具体例に——
西村紗知
黛敏郎《涅槃交響曲》(1958年)の「カンパノロジー・エフェクト」に関する一考察
——日本近代音楽館蔵「Campanology 資料」の検討を中心に
高倉優理子
土方巽の暗黒舞踏における「東北」
李 裁仁
古代ローマ壁画における神話風景画
——アグリッパ・ポストゥムス荘「神話の間」を中心に——
武関彩瑛
ヤーコプ・ファン・リースフェルトの聖書
——宗教改革期アントウェルペンにおけるテクスト、イメージ、印刷物——
石田友里
アーニョロ・ブロンヅィーノの肖像画における仮面性についての一考察
瀬戸はるか
ディドロのブーシェ論
——1759年の『サロン』から1765年の『サロン』を中心に
胤森由梨
〈アール・ブリュット〉の初期構想
——1940〜50年代、ジャン・デュビュッフェの芸術理念——
小寺里枝
セルフポートレイトの生々しさの行方
——森村泰昌《Hermitage 1941-2014》における身体提示とセルフィー拡散の関係——
田川莉那
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