はじめに
第 72 回美学会全国大会が 2021 年 10 月 9 日(土)・10 日(日)に、東京大学を当番校として開かれました。新型コロナウイルス感染症の蔓延を受け、昨年に続き今大会もWEBによるオンライン開催となりましたが、物理的な隔たりを超えて熱い議論が交わされました。第 65 回大会以来、美学会で初めて発表する若手研究者のために、美学会と当番校の共催企画「若手研究者フォーラム」が開かれて、今年で8回目を迎えます。今回も意欲的な発表が集まりました。以下は、発表者の任意による投稿のなかから、ある程度の水準に達しているものを論文として掲載した報告集です。若干の字句の修正や書式統一のための処理を行った部分もありますが、原則的には、発表者から送られてきた原稿を、ほぼそのまま掲載しています。「若手」研究としての性格上、多少の不備があるかもしれませんが、その点につきましては、各発表者の研究の進展を期待することにして、ここでは 発表時の原形を伝えることを第一の目的としました。「若手」らしい、新鮮な着眼点や問題意識、鋭敏な直感や大胆に越境する想像力などを感じ取っていただければ幸いです。
美学会「若手研究者フォーラム」委員会
委員長 東口 豊
目次(個別PDFのダウンロード)
タイトルをクリックすると、発表者ごとの「報告論文」(PDF形式)を閲覧できます。
なぜプラトン『イオン』の対話相手はイオンであるか
—— 詩作、吟誦という解釈的行いについて ——
風戸美伶
雑誌『美術新報』が提示した同時代美術・美術家像
——1909年から1915年の作品・作家批評を手がかりに——
日比野未夢
クレメント・グリーンバーグの工芸観
——装飾との関わりを中心に
中嶋彩乃
「ファウヌスの家」の≪鳥を襲う猫、鴨、魚介のモザイク≫
——古代ローマの静物画に関する一考察——
野々瀬真理
アルチンボルド《ウェルトゥムヌスとしてのルドルフ2世》
——神話の再解釈と仮装文化の関係——
江村哲朗
ソフォニズバ・アングイッソーラ作《フェリペ2世の肖像画》における
ヤコポ・ダ・チェッソーレ『チェスの書』(1493年)からの影響について
平沢遼
ヨーリス・フフナーヘル《植物や果物、小動物に枠取られたレダと白鳥》
における画家の蒐集趣味と自然観
河村耕平
フラゴナール《ぶらんこ》(1767年)における演劇的要素について
宮下 明日香
ロシア正教会の作曲家としての P. I. チャイコフスキー
宮路星史
フランシス・ベーコンにおけるリアリティ
——写真と映画の比較から
伊藤結希
「マコム(makom/場)」概念の考察に基づく
ダニ・カラヴァン作《人権の道》解釈の試み
早坂若子
エリオ・オイチシカによる《パランゴレ》にみられる「遊び」に関する考察
山野井千晶
トーマス・ヒルシュホーンの《バタイユ・モニュメント》における暴力の再考
藤本流位
ヴェルサイユ宮殿美術館と現代美術
——歴史的な展示空間と作品の摩擦がもたらした批評と破壊行為——
新井晃
完全版PDFのダウンロード
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第72回美学会全国大会(2021年10月9-10日、於東京大学)
美学会